金融機関や手形割引業者が商取引をした代金として受け取った手形を期日前に現金化することをいい、商業手形割引とも言われています。 期日前に現金化するために、期日までの期間の金利を割引料として支払わなければなりません。
手形割引とは、「手形を期日前に買い取ってもらう」という説明をしているサイトもありますが、正確には期日前に裏書譲渡し、期日までの金利分を割引料として差し引かれます。
万一、その手形が不渡りになった時は、買戻しの義務が発生します。
手形割引は、手形を担保にした融資と見なされる為、金利が発生します。手形割引料の計算方法は下記の計算式にて算出することができます。
手形割引料=手形額面金額×金利(年利)×支払期日までの日数÷365日
【例】手形額面金額100万円手形割引年率3%支払期日までの日数60日
1,000,000×3%×60÷365=4,932円(小数点以下四捨五入)
「手形を貰ったことが無いし、ちょっと怖いイメージがあるけど。」と思われている方も多いのではないでしょうか。 実は手形で取引をすることによるメリットは多いのです。
では、反対に手形をもらった時のデメリットは無いのだろうかとお考えになる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
銀行は、お客様の信用状況を見て手形割引の取引をしますのでかなりハードルが高く時間もかかります。 特に、新設会社や個人事業主への手形割引取引は、上場企業の手形であっても、手形割引は難しいでしょう。
一方、手形割引業者は、手形の振出人(発行元の企業)の信用状況を見て割引の可否を判断いたします。 よって、お客様の会社の状況とは関係なく、優良企業の振出の手形は比較的安い金利(年率3-5%程度)で即日現金化できます。
「銀行が公共交通機関なら手形割引業者はタクシー」 時と場合によっては、多少利用料が高くてもそれに見合ったサービスを必要とする場合がありませんか?
確かに、最近の低金利時代の大手銀行借入金利は1-2%程度で、銀行で手形割引をする場合も同程度の金利で割引が出来ます。しかし、取引するには定期預金を担保に入たり、保証料を支払うと実質的な金利は、その2-3倍になる場合があります。
信用金庫クラスの金融機関であれば、金利は3-5%程度となり同様に実質的な金利は増えます。
手形割引業者の金利は3-12%程度で、表面金利では銀行に比べ高く見えますが、実質金利ではあまり差がありません。優良な企業が振り出した手形であれば、むしろ信用金庫クラスの金融機関より安い可能性もあります。
値引き交渉の場合3-5%程度なら簡単に了承してしまいますが、手形割引の金利3-5%(年率)は4ヶ月期日の手形であれば額面金額の1-1.66%で済みます。
現金値引き | 3% | → | 値引き後 | 97万円 | |
手形割引 | 3% | 期日4か月 | → | 割引 後 | 99万円 |
自己手形割引(手形貸付)
自社で振出した手形を担保に金融機関や貸金業者から借入(金銭消費貸借)をすることです。
単名手形割引ともいい手形期日前までに買い戻すか、新たな期日の手形を差し入れ、金利を払いながら継続することもできます。
手形ファクタリング
上場企業などは、手形を振出すのと同時に関連の金融子会社に低利でその手形を買い取るサービスを行っています。 手形受取人が金融機関に手形割引枠を作る必要もなく、金融機関と同等の低金利で現金化できるメリットがあり、現在の手形流通量の減少の一因にもなっています。
現金の代わりに手形を支払うという事は、手形に信用が無ければいけません。
ですので、取引の安全性や支払いの確実性を確かめるため、必要記載事項は誰が見ても分かるように、手形の券面上に記載しなければなりません。
手形は約束手形と為替手形の2種類がありますが、それぞれの手形要件(手形を有効にする為の記載事項)をチェックしていきましょう。
手形に記載された金額 | 印紙税額 |
10万円未満 | 非課税 |
10万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 600円 |
300万円を超え500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 2千円 |
1千万円を超え2千万円以下 | 4千円 |
2千万円を超え3千万円以下 | 6千円 |
3千万円を超え5千万円以下 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 2万円 |
1億円を超え2億円以下 | 4万円 |
2億円を超え3億円以下 | 6万円 |
3億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 15万円 |
10億円を超えるもの | 20万円 |
手形割引後の会計処理は②ですが、分かりやすいよう時系列に並べています。
例として、今回は建設工事業を営んでいる企業を想定して作成しております。
借方 | 貸方 | ||
受取手形 | 1,000,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 980,000 | 割引手形 | 1,000,000 |
手形売却損 | 20,000 |
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 1,000,000 | 受取手形 | 1,000,000 |